プロフィール:
〈WIRE〉には昨年に続き、通算3度目の出演となるレディオ・スレイヴこと、マット・エドワーズ。ほぼ消滅したレキッド名義を除いて、相変わらずの多名義使い分け、多ジャンル横断なリリース状態は健在。また自身のレーベル〈Rekids〉の緩急、新旧のアーティストを使い分けてのコンスタントなリリースも健在。ここ最近のトピックとしてはレーベル〈RKDS〉。やはり権利関係上の理由か〈Rekids〉の〈アンオフィシャル・サブレーベル〉として、「Cabin Fever Trax」と題したシリーズをリリースしている。このシリーズ、2009年あたりからは怒濤の勢いでリリースされているが、内容はオールドスクールなハウスや大ネタを使ったリミックスやエデット。シリアスな〈Rekids〉とは違ったDJツール・レーベルとなっている。その反面、2010年にはザ・マシーンなるプロジェクトをスタートさせ、実験的なミニマル・サウンドをフィーチャーしたアルバム『RedHead』をリリースしている。こうした多名義の実験はあるものの、レディオ・スレイヴ名義のリリースは極めて少なく、これらの実験を得て獲得した要素を使い、厳選したクオリティ・コントロールをおこなってリリースしているようにも思える。ひとつ言えるとすればレディオ・スレイヴの最近のリリースからは、ディープ・ミニマル的な要素は後退していて、「Cabin Fever Trax」のようなハウス的な要素がフィーチャーされている。これまでもさまざまなジャンルにまたがってシーンに刺激を与えてきた才人だけに、こうした動きのなかで〈WIRE〉ではどんなプレイをするのか楽しみだ。