坂本龍一+テイラー・デュプリー『Live in London』とは

坂本龍一+テイラー・デュプリー『Live in London』とは、日本の音楽家である坂本龍一と、アメリカのエレクトロニック・ミュージシャンであるテイラー・デュプリーが、2014年に英国ロンドンのセント・ジョンズ大聖堂で行ったライブの模様を収録したアルバムである。このアルバムは、2020年6月にデジタル配信された。

坂本龍一とテイラー・デュプリーの出会いと共同作業

坂本龍一とテイラー・デュプリーは、2007年にニューヨークで開催された「STEIM: Patterns + Pleasure Festival」で初めて出会った。その後、2011年には、東日本大震災の被災者支援のために「2-1-12」を共同制作し、チャリティ・ダウンロードとして発表した。また、同年には、ニューヨークのユニテリアン教会で行われた「Silence」シリーズの一環として、初めてライブを共演した。このライブは、後にアルバム『Disappearance』として発売された。

坂本龍一とテイラー・デュプリーは、その後も様々な場所でライブを行い、その中でも特に印象的だったのが、2014年3月28日にロンドンのセント・ジョンズ大聖堂で行われた「St John Sessions」でのパフォーマンスだった。このライブでは、坂本龍一がピアノやエレクトロニクスを、テイラー・デュプリーがモジュラーシンセサイザーやエフェクターを使って即興演奏を行った。二人の音楽は、大聖堂の空間や音響に呼応しながら、静寂と響きの間を繊細に探求した。

坂本龍一+テイラー・デュプリー『Live in London』の内容と評価

坂本龍一+テイラー・デュプリー『Live in London』は、2014年のロンドンでのライブを55分間に編集したものである。このアルバムは、2016年に限定版のアナログレコード2枚組として発売されたが 、2020年6月に初めてデジタル配信された23。また、収益のすべてはNYC ACLU(ニューヨーク市内の公民権団体)とurban league of Westchester(ニューヨーク州ウエストチェスター郡内の公民権団体)に寄付されることになっている3

このアルバムは、坂本龍一とテイラー・デュプリーの音楽的な親和性や相互作用を感じられる作品である。二人の音は、時に重なり合い、時に対話し、時に対比し合いながら、美しくも不安定な音響空間を作り出す。ピアノの鍵盤や弦を叩いたり弾いたりする音、シンセサイザーの波形やノイズ、エフェクトで加工された音などが、大聖堂の残響と共鳴しながら、聴き手の耳に届く。このアルバムは、テクノ音楽というよりも、アンビエントやエレクトロアコースティックといったジャンルに近いと言えるだろう。

このアルバムは、音楽評論家やファンから高い評価を受けている。例えば、『Pitchfork』のレビューでは、このアルバムは「坂本龍一とテイラー・デュプリーの最高の共同作品の一つであり、二人の音楽的な関係性や感性を見事に表現している」と評されている。また、『The Wire』のレビューでは、「このアルバムは、坂本龍一とテイラー・デュプリーが持つ音楽的な多様性や深さを示しており、大聖堂の空間や音響を巧みに利用している」と評されている。

まとめ

坂本龍一+テイラー・デュプリー『Live in London』は、2014年にロンドンで行われたライブを収録したアルバムである。このアルバムは、坂本龍一とテイラー・デュプリーの音楽的な親和性や相互作用を感じられる作品であり、ピアノやエレクトロニクス、シンセサイザーやエフェクターなどを使って即興演奏を行っている。このアルバムは、音楽評論家やファンから高い評価を受けており、テクノ音楽だけでなく、アンビエントやエレクトロアコースティックといったジャンルにも興味がある人におすすめである。