私は、JBpressの記事「女性管理職の比率が一向に上がらないワケ、取り除くべき“三重苦”の正体」を読んで、女性の管理職比率が低い理由とその影響について考える機会を得ました。この記事は、政府が掲げる女性管理職比率30%という目標に対して、なぜ現状は達成できていないのか、どのような問題があるのか、どうすれば改善できるのかという観点から分析しています。私はこの記事に共感する部分もありましたが、疑問に思う部分もありました。
まず、共感した部分は、女性管理職の比率が低い理由として挙げられている「社会の事情」「組織の力学」「個人の心理」という“三重苦”です。社会的には、高度成長期に形づくられた男性が家計収入を支える一方で女性は家事育児を担当するという役割分担が根強く残っており、女性は正社員よりも非正規社員として働く割合が高くなっています。組織的には、管理職は男性が占める割合が圧倒的に多く、女性は管理職になることで周囲から孤立したり圧迫感を感じたりするリスクが高まります。個人的には、女性は自分の能力や適性に自信を持ちにくく、管理職になることへの希望や意欲が低くなります。これらの要因が相互に影響しあって、女性管理職の比率を上げることを妨げているという説明は納得できます。
女性管理職の比率が低い影響
次に、疑問に思った部分は、女性管理職の比率が低いことでどのような影響が生じているのかという点です。この記事では、女性管理職の比率が低いことで組織や社会に損失が生じているという主張をしています。例えば、「多様な視点や意見を取り入れることで組織のパフォーマンスやイノベーションを高められる」「男女平等な社会を実現することで国際的な評価や競争力を高められる」というような主張です。しかし、これらの主張はどれだけ根拠や証拠に基づいているのでしょうか。私はこの記事ではそれらが十分に示されていないと感じました。
たしかに、女性管理職の比率が高い国や企業では経済成長やイノベーションが促進されているという事例もあるかもしれません。しかし、それは必ずしも因果関係があるとは言えないのではないでしょうか。女性管理職の比率が高いことが経済やイノベーションに良い影響を与えているのか、それとも経済やイノベーションが発展していることが女性管理職の比率を高めているのか、あるいは他の要因が両者に影響を与えているのか、ということは明確に区別しなければなりません。また、女性管理職の比率が高くても経済やイノベーションが停滞している国や企業も存在する可能性があります。そうした場合には、女性管理職の比率を上げることだけでは十分ではなく、他の改善策も必要になるでしょう。
女性管理職の比率を上げるために
最後に、女性管理職の比率を上げるためにどうすればよいかという点についてです。この記事では、政府や企業、個人がそれぞれ行うべき対策を提案しています。政府は法律や制度を整備して女性の社会進出を促進すること、企業は組織風土や評価制度を改善して女性の活躍を支援すること、個人は自分の能力や適性に自信を持ってキャリアアップを目指すことなどです。これらの対策は一見妥当に見えますが、私は実際に実施する際にはさまざまな課題や困難があると考えます。
例えば、政府は女性管理職比率30%という目標を掲げていますが、それは本当に適切な目標なのでしょうか。女性管理職比率30%という数字はどこから来たのでしょうか。それは女性自身の希望や意思に基づいて決められたものなのでしょうか。それとも政府や社会が一方的に押し付けたものなのでしょうか。また、その目標を達成するためにはどんな手段を用いるのでしょうか。それは公平で合理的な手段なのでしょうか。それとも不公平で無理強いな手段なのでしょうか。このように、政府が設定する目標や対策には根拠や正当性が求められます。
同様に、企業や個人も自分たちが取るべき対策についてよく考える必要があります。企業は組織風土や評価制度を改善することで女性の活躍を支援することができますが、その際に男性や他の社員に不利益や不満が生じないように配慮する必要があります。個人は自分の能力や適性に自信を持ってキャリアアップを目指すことができますが、その際に家庭やプライベートなど他のライフ バランスを崩さないように注意する必要があります。このように、女性管理職の比率を上げるためには、多くの関係者の利害や価値観を考慮しながら、最適な解決策を見つけることが求められます。
まとめ
私はこの記事を読んで、女性管理職の比率が低い理由とその影響について考えることができました。この記事は、女性管理職の比率が低いことは組織や社会に損失をもたらすという主張をしていますが、私はその主張には根拠や証拠が不十分だと感じました。また、女性管理職の比率を上げるためには、政府や企業、個人がそれぞれ行うべき対策についても、根拠や正当性が求められると考えました。私は女性管理職の比率を上げること自体に反対ではありませんが、それを目的ではなく手段として捉えて、より公平で合理的な方法で実現することが重要だと思います。
