ニュース記事「なぜ日本では社会問題が「自己責任」とされてしまうのか 寛容な社会を作るために、NPOが次の10年で担う役割」を読んで、感想を述べたいと思います。この記事は、株式会社SAKURUG主催のイベント「未来の社会に投資する~ビジネス×NPOでつくる社会的インパクト~」の模様をレポートしたもので、日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾雅隆氏と、NPOと様々な協働を行うSAKURUG代表遠藤洋之氏が登壇し、「企業とNPOの協働でつくる社会的インパクト」について議論されました。私はこの記事から、以下の三つの点について考えました。
- 自己責任論の問題点
- NPOが担うべき役割
- 企業とNPOの協働の可能性
自己責任論の問題点
自己責任論とは、自分の行動によって起こる結果はすべて自分の責任とする考え方のことです。たとえばある事業に失敗した場合、その失敗は事業のために行動した人に責任があるとする。また、「生活が苦しいのはその人の選択のせい」と考えるのも自己責任論です。このような考え方は、個人の責任感や覚悟につながり、その人の成長を促すという意見もあります。しかし、自己責任論が行き過ぎると、以下のような問題が生じます。
- 人は「すべて自分の責任」とネガティブなイメージにとらわれてストレスをためやすくなります。自分を責めたり、自信を失ったり、孤立したりする可能性が高まります。
- 自分だけでなく他人に必要以上に厳しくなります。同僚や部下の失敗を過度に追及したり、相手のモチベーションを下げたりしてしまいます。また、他者や外部環境に対する理解や共感が欠けるため、協力や支援が得られにくくなります。
- 社会的な問題や課題に対して無関心や無責任になります。自分以外の人々や世代や地域に起こっている困難や不平等を見過ごしたり、それらを解決するための政策や制度や運動に参加しなかったりします。また、「自分さえよければいい」という利己的な行動を正当化したりします。
以上からわかるように、自己責任論は個人だけでなく社会全体に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、日本では高齢化や少子化、貧困や格差、災害や感染症などの社会問題が深刻化しており、それらに対処するためには、自己責任論ではなく、支え合いや助け合いの精神が必要です。
NPOが担うべき役割
では、自己責任論に対抗して、寛容で協働的な社会を作るためには、どのような主体がどのような役割を担うべきでしょうか。記事では、NPO(非営利組織)がその一つとして挙げられています。NPOとは、公益や社会的な目的を持って活動する組織のことで、政府や企業とは異なる第三セクターと呼ばれることもあります。NPOは以下のような役割を担うことができます。
- 社会問題や課題に対して、現場からの視点や声を反映させることができます。NPOは、政府や企業と比べて、より直接的に社会のニーズや要望に応えることができます。また、NPOは、多様な価値観や立場を持つ人々を巻き込むことができます。
- 社会問題や課題に対して、革新的かつ柔軟な解決策を提案することができます。NPOは、政府や企業と比べて、より自由度の高い活動を行うことができます。また、NPOは、実験的かつ創造的なアプローチを試すことができます。
- 社会問題や課題に対して、持続可能かつスケーラブルなインパクトを生み出すことができます。NPOは、政府や企業と比べて、より長期的かつ包括的な視野を持つことができます。また、NPOは、他の組織や個人と協力することで、より大きな変化を起こすことができます。
以上からわかるように、NPOは社会問題や課題に対して独自の価値を提供することができます。しかし、NPOだけでは限界もあります。たとえば資金調達や人材確保、法制度や社会認知などの面で困難に直面することも少なくありません。そこで必要になるのが企業とNPOの協働です。
企業とNPOの協働の可能性
記事では、「企業とNPOの協働でつくる社会的インパクト」について議論されました。企業とNPOの協働とは、それぞれの組織が持つ強みや資源を活用しながら、共通の目標やビジョンに向かって連携することです。企業とNPOの協働には以下のようなメリットがあります。
- 企業は、社会問題や課題に関心を持ち、自らの事業や経営に反映させることで、社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、新たな市場や顧客、イノベーションの機会を創出することができます。また、企業は、社会的な価値を生み出すことで、自らのブランドや信頼性を高めることができます。
- NPOは、企業の資金や人材、技術、ネットワークなどの支援を受けることで、自らの活動の規模や効果を拡大することができます。また、NPOは、企業の事業や経営に影響を与えることで、社会的な変化を促進することができます。
- 社会は、企業とNPOの協働によって、より多くの社会問題や課題が解決されることで、より寛容で協働的な社会になることができます。また、社会は、企業とNPOの協働によって、より多くの人々が社会的な価値に関わることで、より多様で活気ある社会になることができます。
以上からわかるように、企業とNPOの協働には多くの可能性があります。しかし、企業とNPOの協働には以下のような課題もあります。
- 企業とNPOはそれぞれ異なる目的や文化や価値観を持っており、それらを調整することが難しい場合があります。たとえば企業は利益や競争力を重視する傾向がありますが、NPOは公益や社会的インパクトを重視する傾向があります。このような違いをどう受け入れて尊重するかが重要です。
- 企業とNPOはそれぞれ異なるステークホルダーやアカウンタビリティ(責任)を持っており、それらを満足させることが難しい場合があります。たとえば企業は株主や取引先や従業員などに対して責任を負っていますが、NPOは寄付者や支援者や利用者などに対して責任を負っています。このような違いをどう説明して納得させるかが重要です。
- 企業とNPOはそれぞれ異なる評価基準や測定方法を持っており、それらを共有することが難しい場合があります。たとえば企業は金銭的な指標や数値的な指標で成果を測定する傾向がありますが、NPOは質的な指標や物語的な指標で成果を測定する傾向があります。このような違いをどう統合して報告するかが重要です。
以上からわかるように、企業とNPOの協働には多くの課題もあります。しかし、これらの課題は不可能ではなく、むしろ協働のプロセスそのものが学びや成長の機会になると考えることができます。企業とNPOがお互いに信頼し、尊重し、理解し、協力し合うことで、協働の質や効果を高めることができます。
まとめ
この記事を読んで、私は自己責任論の問題点とNPOの役割について考えました。自己責任論は個人や社会に悪影響を及ぼす可能性があります。NPOは社会問題や課題に対して独自の価値を提供することができます。企業とNPOの協働は多くの可能性と課題を持っています。私は、自己責任論に陥らず、NPOや企業などの様々な組織や個人と協働して、社会的な価値を生み出すことに興味を持ちました。この記事は、私にとって刺激的で有益なものでした。